- 概要
- 通報手順と入力内容
- 通報後の流れ
- 削除要求前の注意点
- 余談1:削除申請は面倒か
- 余談2:著作権を守るのは非常に難しい
ニコニコ動画において著作権侵害の通報をしたので、その時の手順や入力内容について迷ったところの共有をここに残します。
※本記事内には法律に関する記載もありますが、私は法律家ではないので知見者ではないということを念頭に読んでください。
まぁ難しいことは無いですが、一応通報手順を書いておきます。
1. 通報画面の開き方

通報、というよりこの場において削除要求という表現が正しいでしょうか。
その削除要求は対象動画を開いてメニューからできます。
2. 通報種別の選択

通報種別を選択します。
著作権やプライバシー権のような自らが保有している権利侵害の場合は「保有する権利が侵害されている」を選びましょう。
3. 通報内容の入力

ここで権利侵害の内容等の詳細情報を記入していきます。
当然ながら実際に削除する運営としても、むしろ実際に削除する運営だからこそ、削除申請が正当な要求であることを確認する必要があります。 そのため通報者側はここで正当な要求であることを運営にきちんと伝える必要があります。
すなわちここが最重要です。ここについての備忘を共有したく、この記事を書いています。 入力内容の各項目についての説明は次項に記載します。

入力内容は以下の通りです。赤字は重要、※は必須という意味です。
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権利の内容(※):
侵害された権利を選択します。一つしか選べないので、複数ある場合は「侵害の状況等」欄で書くも良いですし、一つだけでも削除要求として充分と考えたならわざわざ他は書かなくても良いかと思います。
一番下の「法令または判例で認められた権利」は普通の人には基本入れられなさそうですが、ぱっと見、名誉権が選択肢に無いので例えば名誉権侵害があればここに書く感じですかね。 -
権利侵害の行われている時間帯(※):
対象動画において権利侵害のある時間を記入しましょう。 -
オリジナル作品のURL:
著作権侵害が行われた著作物をWeb上に公開していれば、そのURLを書くようです。恐らく権利者であることの確認のための項目だと思います。
複数箇所で公開していることもあると思いますが、一つしか書けなさそうなので、ニコニコ上で公開していれば、そのURLを優先して書くのが良いと思います。
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権利の対象物(オリジナル作品の名称)(※):
ニコニコは動画削除後にその動画を見ようとすると、「削除された旨」と「削除理由」が流れるようになりますが、これはその際に、削除理由として表示される著作物の名称のようです。
すなわちここで書いた名称が一般公開されます。
流石に嘘を書くのは良くないと思いますが、ここを詳細に書かなかったからと言ってニコニコ側が削除を受け付けないということは無いと思うので、詳細に書きたくなければ単に「動画」「イラスト」「楽曲」ぐらいの記載でも良いと思います。 -
侵害の状況等:
超スーパーウルトラ大切な項目だと思います。これについては後述します。 -
通報者種別(※):
自分(権利者)が個人か法人か。
入力項目が違う他、法人だと削除後の動画に法人名が強制で表示されたり、著作権侵害した人から情報開示請求があった場合に断りなく開示することがあったりと法人の方が厳しい扱い。というより個人にはきちんと配慮した対応をしていると言った方が良いか。 -
氏名(※):
自分の名前です。ここで本名を書いてもあまり意味は無いと思うので、著作権者(つまり自分)のネット上の名前を書いた方が良いと思います。別の方の通報動画でも本名は書いてないですし、私も書いてません。それでもちゃんと削除されてます。気になる方は「侵害の状況等」欄で本名でないことを入れておくのも良いと思います(私もそうしました)。ニコニコで上げた動画が権利侵害された場合は、ニコニコのアカウント名が良いと思います。個人の通報の場合は、この名前は一般に表示されません。 -
表示名:
個人による通報の場合、削除後動画にも「個人」と名前が出ない形で表示されますが、もし別の表示をしてほしい場合はここを入れると良いらしいです。当然、嘘の名前を書くのは良くないと思いますが。
この項目は超スーパーウルトラ大切な項目だと思います。
他の方のニコニコでの著作権侵害の通報動画を2つ見ておりますが、どちらの方もここを1,2行しか記入しておらず、流石にそうはならんやろ、と思っています。(結果的にどちらの方も削除出来てるので、それでも良いとも言えますが……)
ちなみにボクは1,200字くらい書きました。
こちらの項目について、入力欄の下に以下補足が付いています。
>> ※侵害箇所やどのように侵害が行われているかなど、運営会社が権利侵害の事実を確認するために必要と思われる情報をできるだけ具体的かつ詳細に記載してください。また、申請者が権利を保有していることが確認できる情報があれば記載してください。
ピックアップするとニコニコは以下の情報の入力を求めています。
- 運営会社(=ニコニコ)が権利侵害の事実を確認するために必要と思われる情報
- 申請者が権利を保有していることが確認できる情報
運営会社が権利侵害の事実を確認するために必要と思われる情報
これは要するに「権利侵害されていることを分かりやすく説明してくれ」ということであり、
「この部分の」「このような行いで」「この権利が侵害されている」という風に説明できればよいと思います。
例えば「動画の1:00~1:10で、当該著作物を改変して利用しており、"翻案権"を侵害している」とか「動画の1:00~1:10で、当該著作物を政治的主張に用いており、"著作者人格権"を侵害している」とかで良いと思います。
他の方の通報動画では、無断転載だったので単に転載しているというような記載だったと思いますが、転載であれば「転載である」というだけで伝わると思います。
また、引用要件を満たしていないことも記載しておく方が良いと思います。
引用についてはここに触れませんが、著作物を扱うのであれば引用要件はしっかり押さえておくべきと思います。
申請者が権利を保有していることが確認できる情報
他の方の動画では、前項のことしか記載していませんでしたが、本当に大切で、尚且つ難しいのはこちらかと思います。
ご存じ(かは知りませんが)「著作権」は「著作物を作った時点で作った人に発生する権利」で、特許や商標などと違い別段届け出する必要はありません。逆に言えば、著作権は特許や商標と違って客観的に権利者だと100%証明する方法がほぼ無いと言うことです。
例えば楽曲を公開して、作詞XXさんと書いている事がありますが、これも法律的にはXXさんが作詞者だと「推定される」にとどまり、そうだと「見なされる(認められる)」わけではないそうです。
そう考えれば、自らが権利者だと証明するにはどれだけ書いても足りないということになるかと思います。
この欄が1,2行で済むはずがないと前で言っているのはこれがあるからです。
ただ他の人の動画を見ると、実態としてここが全く記入されてなくても、ニコニコサポート側から権利者であることが確認できるよう、案内してくれるようです。
その方はYouTube内で公開している動画がニコニコ側に転載されていたようなのですが、そのケースでは、YouTubeチャンネルの概要欄にニコニコサポートから案内された番号を一時的に入力することで、そのYouTubeチャンネルの持ち主からの通報だと確認したようです。
ちなみに私の場合は、ニコニコにその動画をアップしており、その動画をアップしているアカウントから通報していたので、その時点でほぼほぼ間違いなく権利者だと証明できていたと思いますが、
自分のサイトがあったので、念のため、自分のサイトとニコニコのアカウントとYouTubeチャンネルすべてが繋がっている事を説明しつつ、その3つのプラットフォームで当該動画を上げていることも、権利者であることの証明として記入しました。
前述のYouTubeチャンネルの例から察するに、ニコニコ側もかなり著作者に配慮してくれているようなので、権利者であることの証明がテキトーでも実態問題無いのかもしれませんが、そのような配慮に甘んじるだけでなく、ニコニコ側にも「権利者でない人の申し立てで削除してしまう」というリスクがあることを考慮して、ここはなるべくしっかり書くのが良いかと思います。
ちなみに私が見た2つの動画は以下のことです。
ニコニコ動画に無断転載されてたので削除申請してみた!2020年バージョン
著作権侵害されたので動画を通報してみた【VOICEROID東北きりたん】
通報後は私の場合は以下の流れでした。
- 30分後:「申請内容を確認します」という確認メールが届く
- 「①」の1時間半後:「削除しました。ご確認ください」という削除完了メールが届く
つまり通報完了後2時間で削除されたということです。早すぎる。しかも土曜日の夜である(18時過ぎに通報、20時に削除完了メール到達)。
単に削除してほしいだけなら、上の対応で良いと思います。
ただ、賠償請求や利益返還請求などの削除以外の対応もしたい場合は、削除要求を出す前にまず著作権や知財問題に詳しい弁護士に相談したほうが良いかもしれません。
侵害を行った相手方に直接削除要求をしてしまい、その通りに相手が対応してしまうと、その後に賠償請求しても「要求内容の変更」としてさらに難しい状況になることがあるそうです。
例えば自分の過失でうっかり誰かに軽い怪我をさせてしまい、その相手から「10万払え」と言われたとします。
その通りの金額を払って問題が終わったと思ったら、「何言ってんだ後1000万払え」なんて話されたら、最初の10万は返せとなるのが殆どじゃないかと思いますし、最初からその金額請求されてたら裁判を起こしてたかもしれません。
恐らく、要求内容の変更とはこれほど重い事なのだということだと思います。
(ニコニコの削除要求の場合は、あくまでニコニコへの要求なので問題ないかもしれませんが)
以下動画にてこんなコメントがありました。
著作権侵害されたので動画を通報してみた【VOICEROID東北きりたん】
>> ニコニコのって通報メンドクサクさせる仕様だよな・・・
これについては「面倒ではない。かなり楽にしてくれている」と言いたい。
確かに単に転載されてそれが明らかでしょと思っている自分自身からしたら入力内容は多いですし、イマイチ入力意図が分かりにくい項目も多いと思います。
しかし確認して削除する側からしたら、どのあたりが何の権利を侵害していて、その通報者に適格があるのかをきちんと確認する必要があることは分かると思います。
本来著作権侵害の主張をするなら自分で考えないといけないその内容を、きちんと通報フォームのガイドに書いていてくれている。
更にその上で記載内容に足りないところがあれば、サポート側から寄り添ってもくれるらしい。しかも対応も超迅速。
ここまでやっていてくれてニコニコに対して「ありがたい」ではなく「面倒にさせている」と考えるのであれば、じゃあどこまでやってほしいのだと訊きたい。
今回は「通報した」ケースを出していますが、普段は著作権侵害されていても気にしていません(というより気にしてない以上、侵害という認識も無いですが)。
今回は私の意図しない見られ方をしたから著作者としての権利を行使したのみです。
とは言え、私自身も他人の著作物を扱っている以上、同様のケースはあると思うので、心がけていることをここに記します。
- 他人の著作物を用いない
- 用いるなら引用要件を満たす
- 引用要件を満たさないなら許諾を得る
- 許諾を得ないなら著作者の意図に反しない利用をする
- 常に著作権侵害の可能性はあると心がける
5までありますが、1~4はどれも難しいかと思います。
他人の著作物を用いない
これが一番シンプルで確実なんでしょうが意外と難しいと思います。
何かを説明したりするときに他人の著作物を用いた方が圧倒的に分かりやすかったりしますし、ゲーム実況なんかをやるとしたら他人の著作物を使わないとほぼできないですよね(まぁゲーム実況はやらなければいいだけですが)。
それ以外にも普通に著作権があると気付けないパターンもあります。
例えば「Webサイトのスクショを取ってアップする」「ゲームの画面をスクショしてアップする」「何かのリアルイベントの会場の様子を撮影してアップする」「東京タワーを撮影してその写真をアップする」「富士山を撮影してその写真をアップする」、こういった行為はよくあると思いますがこれらが著作権的にどうか、というのをすぐに答えられる人もなかなかいないのではないでしょうか。なんならどれも普通に行われている気がします(問題ない行為も混ざってますが)。
そういえば、ツイッターやBlueskyで、ツイート文にリンクを貼るとそのリンクの概要と画像が出ることがありますが、これも内部の仕組み&判例的には著作権侵害になる可能性があるんじゃないでしょうか。こんなのまで著作権侵害の可能性を考慮しろとかムリゲーじゃないですか(意識したことあります?)。
用いるなら引用要件を満たす
引用要件を満たせば著作権的な問題は無くなりますが、引用要件も踏み込むと複雑……というか主観が入り過ぎて分かりません。
一応引用するときはこういう要件・フォーマットがあるよ、というのはあるので、もし引用をきっちり行いたいのであればそういうことをちゃんと調べてやるのが良いと思います。
でもその通りにやっても普通に「引用」を否定されることはあるのかなと思います。
また、引用要件を満たしていても権利者の意思に反した使い方をした場合は、結局引用要件、ひいては著作権侵害を巡っての争いになることはあり得ます。
引用要件を満たさないなら許諾を得る
他者の著作物を正当に利用する場合は「権利の譲渡」か「利用許諾」を得る必要があるかと思います。前者は現実的に難しいので、実質は「利用許諾」でしょうか。
例えば、よくゲーム実況なんかだと「配信ガイドライン」なんかを出していたりしますが、これが許諾に当たると言って良いと思います。
ただ、この場合でも例えば権利の譲渡があったら許諾の意味が突然無くなりますし、突然ガイドラインが変わっても文句は言えないと思います。
また、許諾の内容そのものもケースバイケースでしょうから、個別に確認するのも大変です。ガイドラインそのものもあまり意図が無く会社が書いているケースもありますし、当然見てる我々も知識がないわけで……。
ガイドラインを律儀に守ろうとすると、むしろガイドラインを細かく気にできなくなるという状態になると思います。
許諾を得ないなら著作者の意図に反しない利用をする
究極これですよね。
著作物はその権利者がどう利用するかを決められますし、決めるべきだという考えがあるので、著作者の意図通り(気持ちを害しないよう)にすることは大切だと思います。
と言っても著作者の気持ちなんて分からないので、まぁ察するしかないですかね。
常に著作権侵害の可能性はあると心がける
ということで、結局ネットなどの不特定多数が見られる公的な場所で活動するのであれば常に著作権侵害の可能性があると考えておくべきなのかと思っています。
そしてそのときの要求内容が適切かどうかも判断出来た方が良いのだと思います。間違っても権利者の人を悪く思わないことも大切だと思いますね……。